輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「床下、天井、その外、お調べになりましたか?」

「以前の例もござりますれば、若侍共、隈なく捜しましたが、怪しいところは、ござりませぬ」

「吉井殿は」

「お次におられましょうと、存じますが」

哲丸は、いつもの、熟した果物のような赤味と、艶とを失って、濁った白い頬をして眠入っていた。

「良伯、これで、御重体か」

「これまで、お亡くなりなされました方々と、そっくり同じ御容体にて、医薬の効目がござりませぬ。先刻、将軍家より、吉田三誼先生が、お見えになりましたが、病状不明にて、拙と同じ手当より外に、思案がつかぬとの御見立でござりました」

左源太は、こうして、すやすやと眠入っている哲丸が――安らかな呼吸をして、静かな脈搏をして眠入っている哲丸が、死ぬとは思えなかったが、これまで亡くなった人々のことを思い出すと、夜に入ってからの――この幼い子供が死と闘う悲惨な努力、大人の眼に見えぬ怪しい力と、ただ一人で闘って、怯え、顫えて、救いを求める悲痛さ――そして、それに、何んの助力もできぬお付きの人々――そういうことを思い出すと、誰に憤っていいのか、何うすればいいのか?――左源太は、哲丸の苦悶する夜の顔を考えてみると、自分の胸を、腸を引っ掴んで、掻き廻されているように感じてきた。