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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

この二人しか、一人前に、用いられぬとは――)

斉彬の、温厚な、だが、肚のすわった、そして、立派な――広い知識と、高い見識とを思い出すと、筒井政憲の顔を見るのさえ、厭になってきた。

(斉彬は、日本のために、幕府のために尽して、過労で死んだのであろう。わしも、いささか、斉彬を見習って、職に倒れよう。斉彬のために、わしの最後の友情として、斉彬の志の通りに、島津の家督を、片づけてやらねばならぬ。それだけしか、わしが、斉彬に尽すことはないのだ。斉彬は、いえぬくらいに、多くを、わしのために、尽してくれたが――)

伊勢守は、斉彬の亡き後の、島津の相続について、きっと、伊達、黒田の人々は、再び、斉興を、後見役にするということに対しては反対するであろうと、信じていた。

(何んなに反対しても、斉彬の孝心としては、忠義を立てて、斉興を、後見役にしたいであろう。わしは、唯一つの、わしにできる、斉彬に報いうることとして、死後まで、斉彬の孝心を貫徹させてやらなくてはならぬ)

伊勢が、そう思った時、坊主が

「お上りになりましてござります」

と、襖越しに、声をかけた。

「お通し申せ」

と、伊勢が、答えた。