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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠13(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 349,705 字 · 678 頁

青空文庫

ところが、その海竜は、この子には恐怖の対象ではなくして、風説の製造元であったのだから、海竜もまた親類であるべきはず。

では、何を怖れたか。つまり、この子の怖れるものは人間のほかにはないのです。人間につかまえられて、人気者に供される以上の恐怖は、この子には無い。

甲州の上野原でも、こんなように無邪気になっているところを、不意にがんりきの百蔵なるならず者につかまって、いやおうなしに江戸へ拉し去られてしまったではないか。幸い、江戸に於て田山白雲を見出して、その背に負われて、この房州へ連れられて来たが、怖れるところのものは、右様の人間のほかには、この少年の前にはありません。

多分、そんなような、胡散な者を、たった今眼前に於て、感得したればこそ、彼はかくも一目散に走り過ぎたものと思われる。

そうして、夢中に、ものの二町ほども走ったが、幸いに、何物も後を追い来る気色がありませんから、そこで、安全圏内に入ったつもりで、歩調をゆるめてしまいました。ここへ来ると、行手に遠見の番所の火影がボンヤリと見えている。万一の場合、大きな声を出しさえすれば、誰か番所から駈けつけてくれる。