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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
古金銀を民間から引あげ、質の落ちた悪貨を通用させる。当然、巨額なサヤが手にのこる。この悪政で、勘定奉行の萩原重秀は、有名になった。柳沢閥と、大奥の費用と、将軍家の身辺には、ふたたび費いきれない程なものが、黄金蔵に積まれた。
物価の単位は、毎年、前年を切りはなして、ハネ上った。生活難は、下層ほどひどくなる、正直者の運命は、落伍者ときまっていた。元和、寛永以来の、素朴な士風や町人道の反動として、“世の中は金、女というも金次第”と心中物の浄瑠璃作者すら云う黄金万能が、この世の鉄則となってきた。
そのくせ、この鉄則に倣えない人間の方が、はるかに多く「この高い米は食いきれない」と嘆き合っている。いや、嘆いたり、こぼしたりしていられる方は、まだ社会のよい方であった。てんで声もしない飢餓の群は、橋の下にも、浅草寺の裏にも、ゴミ捨て場のように、蠅をかぶっていた。当然、それには耐えない野性の持ち主は、押込み、ゆすり、追い剥ぎ、かっさらい、あらゆる食うべきための悪を悪ともせず、市井の闇や裏道に跳梁する。
浮浪や、ならず者や、さむらいくずれが、したい三昧を演じるには、時こそ、あつらえ向きなれ、と云ってよい。