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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

島原、祇園、撞木町、足の向く儘、風のふく儘、湯水のように黄金を撒いて、浮様の、お大尽のといい囃されるのを、得意にしている様子さえ見うけられる』

『まさか』

ほんとにしないのだ。惣右衛門は、苦笑の歯の間に、煙管の口金を光らせて、眩しげに、晩春の陽を見ていた。

『馬鹿らしゅうて、いちいちはお話しもなりかねる。短慮者の武林唯七などは、火のようになって怒って居りまする。その他、潮田、小野寺幸右衛門なども、捨ておかれぬと息まいておる。何か、起りますぞ。捨ておかれぬというのは、此方の事。惣右衛門どの、いちど、京都へ御出馬なくてはかないますまい』

『わしが行って、何うするか』

『若い連中の不満が爆発せぬうちに、お取り鎮めねがいたいので』

『その役目は、わしには不向きだ。今の話を聞いただけでも、胸がむかむかとして来るのに、何うして若い者を鎮められよう。一緒になってやるかも知れん。――そうでなくとも、先頃から江戸表の堀部、奥田、その他の同志が、頻々と、檄をよこす。――無理もないのだ。大石殿は、この前の下向の折に、明年四月には、大事決行と誓われていた筈。それをケロリと忘れた顔して、一日のばしに延ばしているので、堀部などは、まったくしびれを切らしてしまったらしい』