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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

……今日も、二階に来ているんでさ。きっと、お粂さんの声を、しいんと、鳴をひそめて、聞いてやがるにちがいない』

お粂は、そこにある櫛の二つ三つを膝にのせて、聞かない振りをしていながら、襟あしに茜をさしたように血を噪がせていた。

『――ね、いっその事、二階へあがって、お話しなさいな。右衛門七は、きょうはすこし、風邪気だと云って、草双紙なんか読んで退屈しているんですから』

『でも……』

『お屋敷のほうが?』

『いいえ、お屋敷は、夜までお暇をいただいてあるんですけれど――』

『――ならば、よいではございませんか。この先に美味い汁粉屋ができましたね。右衛門七のやつも、先刻、食べたいなどと云っていましたから、交際あっておやんなさいな』

『ほんとに、右衛門七さん、工合がわるいんですか』

『大したこともないんですが』

『じゃあ、ちょっと、お見舞して行こうかしら? ……でも、何だか、右衛門七さん一人のところへゆくのは……』

『ええもう、焦れったいお方だ』

善兵衛は、お粂の白い手頸を取って上にあげた。

雛鳥の籠

猫が、泥竈の下から、矢みたいに、奥へ逃げこんで来たかと思うと、西陽のさしている勝手の障子ががらっと開いて、