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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

無門人

彼は、討入に加わって、仇家の門内を踏み、人々の働きぶりを見届けると、自発的に、同志の内から姿を消そうと心を極めて来たのである。――そして、惜しからぬ生命をもって、こよいの様を、この人々の遺族たちへ告げることだけでも、生きのびるせめてもの希望にしようと思った。

無門人

忠左衛門はあらかじめ、彼の気持を知っていたので、今、眼の前へ来て、両手をついた吉右衛門を見ると、

『はやく行け』

と、云った。

『これが、お別れと存じます。旦那さま、旦那様……おさらばでございます』

『待て、内蔵助どのへ、一言、御挨拶をして参れ』

『は、はい』

駈け出すと、その前を雪を浴び、血を浴びて、乱髪になった吉良方の侍が、出あいがしらに吉右衛門の胸へぶつかって来た。

――あっと、吉右衛門は仰向けに仆れた。胸の上を、その男の揮った刃が横に走った。誰かが、

『上杉家から来た附人の小林平八郎』

と云ったのを聞いて、主税は、忠左衛門のことばをもう忘れていた。槍を引っ抱えて、書院の縁へ躍り上り、

『ひと槍参る、これは内蔵助の一子、主税良金』

と、呼びかけた。それを見て、

『主税どのを討たすな』

と、弓組の者が、弓を捨てた。