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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

しかも老人らしい。

どどどど――と悽じく暴れる音が起った。誰か、炭部屋のうちへ入ったのかと思ったが、そうではなかった。ただ一人残っている者が、何処かを破壊しようとして、盲目的に動いているものらしい。

間十次郎が、入って行った。その姿を見ると、だッと、外へ向って駈け出て来たのである。

(吉良っ)

と直覚しながら、十次郎が足もとへ一槍送った。老人は勢いよく、一歩外へ出てから、べたっと坐ってしまった。

上野介とは思わずに、武林唯七が、拝み込んで、一太刀浴びせた。

『……や?』

『……もしや?』

『そ、そうだぞ』

『吉良か』

人々は、まだ半信半疑だった。

白髪まじりの四方髪である。年ばえは六十あまり、絹の寝巻に、白小袖を下に着ている。懐中を検めてみると、肌神守として観音像と地蔵尊の二体が出て来た。

『さては』

『これこそ』

もう、皆、そう決めてかかるのだった。――然し、実際に親しく上野介の貌を見知っている者は、この中に一人もないのである。

『上野介どのならば、面のうちか、身のうちに、古傷がある筈――』

と内蔵助が云った。

額の生え際を一人がしらべて、

『あるっ』

と云った。