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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
凶変戦
一歩でも遅ければ、一歩のあいだ、夫人の悲しみを短くするように思えるからであった。
凶変戦
だが――夫人は既に知っていた。
木挽町の別邸に住んでいる内匠頭の実弟浅野大学が、紙のような顔いろを持って、
『姉上っ。……大変事が起りました』
と、彼女の部屋へ転んで来たのは、供方の者の帰り着く頃より、半刻も前であった。
夫人は、大学のあらい息づかいへ、眸を向けた、もうその時、すべてを知ったのであった。それが分らないような夫婦の生活は、一日とて過した事のない彼女である。
浅野一門の血は彼女にも濃い。三次の城主浅野因幡守長治の娘で、輿入をする前までは、
(栗姫さま)
と呼ばれていた。
深窓の人にめずらしい思いやりを下々に持っていた。又、聡明で、美眸であった。内匠頭とは何としてもふさわしい夫婦だと、一門から羨まれていたものである。
さすがに、恟ッとしたらしく、美眸の睫毛に、露のような戦慄をさせかけたが、もの静かに、
『大学様、おしとねを、お敷て遊ばしませ』
『それ所ではありません。……あ、兄上には、殿中で刃傷に及ばれたそうです。――即座に、田村右京太夫殿へ、お預けになられたとのこと』