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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「気がついたか」

河野の口の中には何時の間にか薬が含まされてあった。薬は体一面に浸み渡るような心好い感じを与えた。河野は夢から醒めたように体の疲労がとれてしまった。

「もう、これから余り遠くない、もう一息じゃ」

河野は起きあがった。刀を差した男はまた歩きだした。何時の間にか夜が明けかけていた。

道は大木の生い茂った林の中へ入った。朝の光が梢から白じらとさしていた。大きな岩があって岩屋らしい入口が眼についた。刀を差した人はその中へ入って往った。

「ここじゃ、ここへ入るがよかろう」

河野はその後から入った。刀を差した人は岩屋の中にゆったりと坐った。河野もその前に坐った。

「不肖は河野久と申す者でございますが、これからお弟子になされてくださいませ、一体ここは何と云う処でございましょう」

「ここは、吉野山の奥で、昔から人跡の到らない処であるから、仙道修行にはまたと無い処じゃ、わしはもと大和の国の神官で、山中と云う者であったが、わしが人間界におった時は、足利義満や義持が将軍になって、言語道断な振舞をするから、慷慨の余りに山へ入ったのじゃ、わしは応永初年の生れであるから、山へ入ったときは四十あまりであった、初めは富士山へ登って、富士山の神仙について、数百年の間、道を学び真を修めたから、その功が満ち行が足って、照道大寿真と呼ば