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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
広巳はつい釣りこまれた。
「谷さんと朋友かい」
「朋友だとも、だから痴にするものじゃないよ、こう見えても、経書はもとより、史子百家の書に通じてるのだ、つまり王道に通じているのだ、この王道とはとりもなおさず神の道だ、今度の日露の戦争だってそうだ、日本には神の道に通じているものがいるから、夷狄の露西亜に勝ったのだ、鉄砲を打ったり、人を殺すことが豪かったから、勝ったと云うわけのものでない、王道つまり神の道だ、だから私には水神様が時どきお姿を拝ましてくだされるのだ」
広巳はその女が水神社の方にでも往ってるのではないかと思いだした。広巳はいきなり老人の前を離れて、拝殿の前を横ぎって池の方へ往った。池の周囲を石畳にして蒼どろんだ水を湛え、その中に小さな島をおいて二つ三つの小さな祠をしつらえてあった。広巳は島へ渡した石橋を渡った。島には何人もいなかった。それは橋を渡らなくても一眼に見わたされる島であった。前の端の祠が水神社であった。広巳がその前へ往った時、雪のような物がぼろぼろと落ちて来た。
(おや)
それは八重桜の花片であった。広巳は四辺に眼をやった。一方から欅の嫩葉の枝が出て来ているばかりで、桜らしい樹はなかった。