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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

※

「頼んだってだめよ」

「こいつは困ったぞ」

「困ったっていいよ、他を痴にするのだもの、今日も私の家へ往って、何を云ったかも知れやしないことよ」

「こいつは驚いた、奥さまは品行方正だ、そこは私が受けあうからと云って、旦那をなだめたじゃないか」

「ちょいと、その品行方正が受けあえて」皮肉な笑いを見せて、「どう、杉本さん」

「受けあえるさ、現に受けあって来たじゃないか」

「だから、貴方は狸よ」

「すると、夫人は、狐か」

「痴」

「痴はもうたくさん、これから飯でも喫って帰ろうじゃないか」

「いやよ、帰らない、帰らないで、今晩は、貴方を引っぱり出して、どこかへ往くから」

「うちの夫人に叱られる」

「叱られたっていいわ、そんなこと」

※

お杉の家では狭い茶室へ小さな釣洋燈を点けて夕飯を喫っていた。

「おまえさん、まだ飲むかい」

お杉は己の盃へ酒を注ぎながら、汚い食卓の向前にいる長吉の方を見た。眼の不自由な長吉は、空になった盃を前へ出していた。

「もう、一杯注いでくれ」

「もう一杯だなんて、おまえさん、もう三杯飲んだじゃないか、そんなに飲んじゃ、体の毒だよ」

「なけりゃいいが、あるなら、もうちょっぴりくれ」