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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁
七
たゞもう出鱈目にそうするより外はなかった。そうでもしなければ恰好がつかなかった……
「止せよ、おい、そんな無理に飲むなよ。」
「仙人」という綽名をもった鷲尾は……もう一人の三羽烏はつねにそれを心配した。――が、世間ではそうしたかれをもっていつか金箔附の酒のみにしてしまった。
七
そのあと二十年。――そのあとの二十年はかれにとって、空な、夢のような月日だった。いえば、その「中洲」時代がかれの役者としての峠、上り切るところまで上り切ったときだった。そのあとの二十年で、それまでの十年にそこまで辛苦して経上ったところからつまりはそろ/\下りかけた。……といっても自分には毛頭そのつもりはなかった……決してかれみずからそうは思わなかった。――なればこそ、空な、夢のような月日という所以の、はッきりいってあとのその二十年には、橋の上から盤台を抛込んだようなことも、日の出の勢いの倭一座を捨てゝ、無人のみるかげもない由良一座に馳せさんじたようなことも、イルカ飛をとびそこなって一生残るほどの怪我をしたようなことも、そうした生きのいゝ、ふん切った、花々しい感じのことは一つもなかった。