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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁
これはかねて世界最大の噴火口の旧跡と聞いていたがなるほど、九重嶺の高原が急に頽こんでいて数里にわたる絶壁がこの窪地の西を回っているのが眼下によく見える。男体山麓の噴火口は明媚幽邃の中禅寺湖と変わっているがこの大噴火口はいつしか五穀実る数千町歩の田園とかわって村落幾個の樹林や麦畑が今しも斜陽静かに輝いている。僕らがその夜、疲れた足を踏みのばして罪のない夢を結ぶを楽しんでいる宮地という宿駅もこの窪地にあるのである。
『いっそのこと山上の小屋に一泊して噴火の夜の光景を見ようかという説も二人の間に出たが、先が急がれるのでいよいよ山を下ることに決めて宮地を指して下りた。下りは登りよりかずっと勾配が緩やかで、山の尾や谷間の枯れ草の間を蛇のようにうねっている路をたどって急ぐと、村に近づくにつれて枯れ草を着けた馬をいくつか逐いこした。あたりを見るとかしこここの山の尾の小路をのどかな鈴の音夕陽を帯びて人馬いくつとなく麓をさして帰りゆくのが数えられる、馬はどれもみな枯れ草を着けている。麓はじきそこに見えていても容易には村へ出ないので、日は暮れかかるし僕らは大急ぎに急いでしまいには走って下りた。