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めいしんとしゅうきょう

迷信と宗教

井上 円了

線上閱讀井上 円了《迷信と宗教(めいしんとしゅうきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,147 字 · 298 頁

青空文庫

また筑前にて、柱に「今年より卯月八日は吉日ぞ髪長虫を成敗ぞする」の歌をさかさまに張りつけおきたるを見たが、これは九州に限らず、虫よけのマジナイとしていずれの国にも行われておる。また薩摩、大隅では、道路のつき当たりに「石敢当」と刻したる建て石がある。これは琉球にことに多く立てられておるが、シナより伝来せし魔よけ法である。

筑後の善導寺といえば、浄土宗の一本山として名高い寺である。その寺へ産婦が参詣して祈祷を請うことになっておる。もし、門内に入りて初めて男子に会すれば、胎児は男と判じ、女子に遇えば女と判ずとのことだ。また、堂の戸を開くときに、その戸重ければ難産、軽ければ安産と判ずるそうである。

佐賀県三養基郡綾部八幡社に、毎年風神の祭りを行う例がある。旧暦六月十五日に幡を上げ、秋期彼岸にこれを下ろすに、その幡の巻き方によって風災の有無を判定することになっておる。また、北茂安村千栗八幡社にては、正月初めに粥をたき、旧二月初卯の日にその粥の状態を検して、豊凶を判知することにきまっておる。かくのごとき例は全国いたるところにある儀式にして、決して珍しくなけれども、九州旅行中に聞いた話であるからここに紹介しておく。