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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

七

「一と晩睨めっこでしたよ。ろくに便所へも立ちません、なにしろ面白い勝負で」

「どっちが勝ったんだえ」

「最初の一番は私、次は佐吉さん、お仕舞の一番は私」

「本当に外へは出ないだろうね」

「休みなしにパチパチやって、奉公人達は寝付かれない様子でしたよ」

そう言われると何の疑いも残りません。

「何目ぐらいの勝でした」

「最初は二目の勝、二番目は中押で負、三局目は七目の勝でした」

「どうも有難う」

平次はもう一度油屋へ引返すと、ちょうど、ガラッ八が湯島から帰って、平次の後を追ってここへ来たところでした。

「親分」

「どうだ、八」

「居ませんよ、二人とも」

「どこへ行ったんだ」

「坊っちゃんの二七日の逮夜だし、今日はお富さんが引揚げて来ると言うんで、手伝い旁々、河内屋へ行って、泊り込んだそうですよ、多分飲みつぶれたことでしょう」

「行ってみよう」

平次の頭は馬場要夫婦でいっぱいでした。喜太郎を殺し、お富を殺せば、河内屋の大身代は、厭も応もなくお米とお米の夫の馬場要に転げこみます。

「佐吉は?」

「寝ているから、そっとしておけ。お富が殺されたと聴かせる役目は、さすが俺でもいやだ」

七

河内屋へ行ってみると、馬場要は予想の如く虎になっておりました。