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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

その帰り途、ガラッ八は寒々と愚痴をこぼします。

「これをお糸へ言うのが一と仕事だ。何か親の罪だけでも胡麻化しようはないかね」

「死骸は揚ったし、三千両の小判は出たし、隠しようはありませんよ」

「困ったね八」

平次はお糸の歎きを見るのが何より嫌だったのです。

「親分、あの石垣の穴に小判があったのは、どういうわけです」

ガラッ八はまた絵解きをせがみました。

「浜町の石置場から見せ金の積りで五十両持って来たが、死骸と一緒に置くわけには行かないし、検印がないから急には捨てる場所も思い付かない。フト殺された甚助が香炉を隠しておいた穴を思い出して、そこへ投り込んで上根岸へ飛んで帰り、二十年前の連判帳は竈の下か何かで焼いたのさ」

「なるほどね」

「二十年前に足を洗った天狗小僧が、無事に天命を全うする積りで、娘の育つのを眺めていたのは殊勝じゃないか、――その娘のために、こんな事になったのは考えてみると可哀想でもあるよ」

「…………」

「これから、お糸と金五郎を添わせるのが一と仕事だ、が、お互同士の気さえ確りしていれば、何とかならない事はあるまい」

平次はしんみり言って、遅い月を仰ぎました。