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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

――相手が悪い――と銭形平次が眉を顰めたのも無理のないことです。

「やりそうな柄ですぜ、親分」

ガラッ八は指で斬る真似をして見せました。小田巻直次郎なら、三月の間に十何人斬っても、その死骸から財布を抜いても、何の不思議もありません。

「いや、――小田巻にしては弱過ぎたと思うが――」

「ヘエ――」

「とにかく当ってみようか、八」

「大丈夫ですか。相手の出ようじゃ、引っ込みがつかなくなりますよ」

ガラッ八が二の足を踏む間に、平次はもう、小田巻直次郎の浪宅の入口に立っております。

「御免下さい」

「…………」

「お願い申します」

「通れッ」

酒気を帯びた声が、平次をのっけから門付け乞食扱いにします。

「物貰いじゃございません。少々物を伺います」

「明日にせい」

取付く島もありません。が、平次は押して訊き返しました。

「小田巻先生がいらっしゃいましょうか、私は平次でございますが」

「どこの平次だ」

「お上の御用で、夜中この辺を廻っておりますと、いきなり私に斬りかけた奴がございます」

「金があると思われたんだろう。怪我がなかったら、諦めろ」

小田巻直次郎傍若無人の放言をしながら、盃を重ねている様子、平次にこう言わせて、立とうともしません。