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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

五

「…………」

「それから半刻ばかり経って入れ物を取りに行くと、お舟と和助はどこからか帰って来て、二人そっぽを向いて坐っていたというじゃありませんか」

「蕎麦は?」

「その時はまだお勝手口に置いたままで、念のために蓋をあけてみると、手もつけずに、伸びていたんだそうで――」

「八、来い」

「親分」

平次は猛然と起ち上がりました、続く八五郎。

五

「お舟、――昨夜はどこへ行った」

平次はお舟の家へとって返すと、八五郎に裏口を見張らせて、ズイと入りました。

「あ、親分さん」

「先刻は、よくも俺を騙したな、昨夜酉刻半(七時)過ぎから戌刻過ぎまで、この家に二人とも居なかったはずだ」

平次は入口を背にして、お舟と和助の方へ詰め寄りました。

「親分さん、すみません」

お舟はガックリ頭を垂れます。大きな牡丹が、土に落ちて砕けた風情です。

「手数をかけずに、本当のことを言っちゃどうだ」

「恐れ入りました、親分さん、お曾与を殺したのは、この私に違いありません」

お舟は畳に手を突きました。

「違うよ、――お舟さんじゃない。――お曾与を殺したのは、この和助だ、――私だよ、親分」

汚点のような男――和助は長身を起しました。