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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
「どなた様でござりましょうか。まず、こちらへお掛け遊ばして」
「いやいや、ここでゆるさッしゃい。実は少々頼みたいことがあるのだが……」と、武士は、笠の顎を上の山へ向けて、「あの頂に見える、蝉丸神社の額堂を、今夜だけ、借りうけたいと思うが、別に差しつかえはあるまいな」
「ほう額堂を? ……」と、神主は少し変な顔をして、「いつもあの通り空いておりますものゆえ、別にさしつかえはございませんが、一体何にお用いでござりますな」
「不審に思うであろうが、実はこうじゃ。身どもは大阪表のある蔵屋敷詰の者であるが、同僚たちと語らって、何ぞ趣向の変った連歌の催しをやりたいというところから、この山の額堂ならば、雅味もあり、静かなことはこの上もないので、是非、今夜だけ借りうけたいと申し合せてまいったのだが」
「ああ、なるほど、連歌の運座でござりますか。それはご風流なことで……さようなお催しならば、どうぞご遠慮なくお使いなされて下さいませ」
「早速の承知でかたじけない」
「また、御用とあれば、渋茶ぐらいは、ここよりお運び申してさし上げます」
「勝手のようだが、それは固く断りたい。静かに連歌の三昧を楽しみたいため、わざわざ不便な所へきたのじゃ。