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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

と、真摯な態度で酬いた。

すると、司馬徽は、聞きもあえず、面を振って、

「否々。いつの時代でも、決して人物が皆無ではない、ただそれを真に用うる具眼者がいないのじゃ。孔子もいっているではないか。――十室ノ邑ニハ必ズ忠信ノ人アリ――と。何でこの広い諸国に俊傑がいないといえよう」

「不肖、愚昧のせいか、それを識る眼がありません。ねがわくば、ご教示を垂れたまえ」

「ちかごろ諸方でうたう小児の歌をお聞きにならぬか。童歌はこういっている……

八九年間ハジメテ衰エント欲ス

十三年ニ至ッテ孑遺無ケン

到頭天命帰ス所アリ

泥中ノ蟠龍天ニ向ッテ飛ブ

これをあなたはどう判じられるか? ……」

「さあ、分りませんが」

「建安の八年、太守劉表は、前の夫人を亡くされた。荊州の亡兆ここに起り、家はじめて乱れだしたのです。十三年に至って孑遺無けん――とあるのは、劉表の死去を予言しているものでしょう。そして天命帰する所ありです。――天命帰するところあり!」

司馬徽はくりかえして、玄徳の面を正視し、かさねて云った。

「――帰するところ何処? すなわちあなたしかない。将軍、あなたは天命に選ばれた身であることを、自身、自覚されておいでかの?」