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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

「拙者は、潁上(安徽省・潁上)の単福と申し、いささか道を問い、兵法を学び、諸国を遊歴している一介の浪人にすぎません」

単福は、それ以上、素姓も語らず、たちまち話題を一転して、こう求めた。

「さいぜん、あなたの乗っていた馬をもう一度、庭上へ曳きだして、拙者に見せて下さいませんか」

「おやすいことです」

玄徳は、直ちに、馬を庭上へひかせた。単福は、つぶさに馬相を眺めて、

「これは千里の駿足ですが、かならず主に祟りをなす駒です。よく今まで何事もありませんでしたな」

「されば、人からも、たびたび同じ注意をうけましたが、祟りどころか、先頃、檀渓の難をのがれ、九死に一生を得たのはまったくこの馬の力でした」

「それは、主を救うたともいえましょうが、馬が馬自身を救ったのだともいえましょう。ですから祟りは祟りとして、一度はきっと、飼主に禍いします。――が、その禍いを未然にのぞく方法も決してないではありません」

「そういう方法があるならば、是非、お教えを仰ぎたいが」

「お伝えいたそう。その方法とは、すなわちかの馬を、しばらくの間近習の士に貸しておくのです。そしてその者が祟りをうけて後、君の手に取り戻してご乗用あれば、まずもって心配はありません」