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さんごくし
三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁
と、いって止めた。
孟建は孔明よりも年上だし、学問の先輩でもあったが大いに啓蒙されて、
「いや、思い止まろう。なるほど君のいう通りだ。人間はすぐ眼前の状態だけにとらわれるからいかんな。――閑に居て動を観、無事に居て変に備えるのは難かしいね」と、述懐して帰った。
孟建などが噂するせいか、襄陽の名士のあいだには、いつか、孔明の存在とその人物は、無言のうちに認められていた。
いわゆる襄陽名士なる知識階級の一群には、崔州平、司馬徽、徳公などという大先輩がいたし、中でも河南の名士黄承彦はすっかり孔明を見込んで、
「自分にも娘があるが、もし自分が女だったら隆中の一青年に嫁ぐだろう」とまでいっていた。
するとまた、ぜひ媒酌しようという者が出てきて、黄承彦のことばは、ついに実現した。――といっても、勿論、黄承彦が嫁入りするわけはない。孔明へ嫁いだのは、その娘である。
ところが花嫁は、父の黄承彦の顔を、もう少し可愛らしくした程度の不美人であった。貞淑温雅で、名門の子女としての教養は申し分なくあるが、天質の容姿は至って恵まれていなかった。
「瓜田の変屈子には、お似合いの花嫁さま――」