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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

(わが文武の才幹は、まさにこの二人に比すべし)

と、独り矜持を高くもっていたのである。

楽毅は春秋戦国の世に、燕の昭王をたすけて、五国の兵馬を指揮し、斉の七十余城を陥したという武人。――また管仲は、斉の桓公を輔佐して、富国強兵政策をとり、春秋列国のなかに、ついに覇を称えしめて、その主君桓公から、一にも仲父(管仲の称)二にも仲父とたのまれたほどな大政治家である。

いまは、時あたかも、春秋戦国の頃にも劣らぬ乱世ではないか。

若い孔明は、そう観ている。

管仲、楽毅、いま何処にありや! と。

また彼は想う。

「自分をおいてはない。不敏といえども、それに比すものは自分以外の誰がいよう」

不断の修養を怠らなかった。

世を愛するために、身を愛した。世を思うために、自分を励ました。

口にこそ出さないが、膝を抱えて、黙然、うそぶいている若い孔明の眸にはそういう気概が、ひそんでいた。

時にまた、彼は、家の裏の楽山へ登って行って、渺々際涯なき大陸を終日ながめていた。

すでに、兄の瑾は呉に仕え、その呉主孫権の勢いは、南方に赫々たるものがある。

北雲の天は、相かわらず晦い。