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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

草堂の周りは早春の光なごやかに幽雅な風色につつまれている。ふと、堂上を見れば、几席のうえにのびのびと安臥している一箇の人がある。

これなん、孔明その人ならんと、玄徳は階下に立ち、叉手して、彼が午睡のさめるのを待っていた。

白い、小蝶が、牀のあたりにとまっていたが、やがて書斎の窓の下へ舞ってゆく。

中天にあった陽は、書堂の壁を、一寸二寸とかげってきた。――玄徳は倦まず動かず、なお凝然と、さめる人を待っていた。

「あーっ。眠くなった。家兄はいったいどうしたんだい」

こう大あくびを放って、無作法にいう声が、墻の外で聞えた。あまり長いので退屈してきた張飛らしい。

「……おや。家兄は、階下にたったままじゃないか」

張飛は、墻の破れ目から、中をのぞきこんでいたが、たちまち、面に朱をそそいで、関羽へ喰ってかかるように云った。

「ふざけた真似をしていやがる。まあ、中をうかがってみろ。われわれの主君を、一刻余りも階下に立たせておいたまま、孔明は牀の上で、ゆうゆうと午睡していやがる。……なんたる無礼、傲慢、もう勘弁相ならぬ」

「しっ。しっ……」

関羽は、また彼の虎髯が、逆立ちかけてきたのを見て、眼で抑えた。