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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎集 第一巻(あかくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 頁

青空文庫

人の波が

いくつかの対数曲線に減ってゆくと

冬彦先生の言葉が憶い出される

須田町の雑沓満員の電車

都会人の焦燥と和みのない生活と

鋭い利己心ともっともらしい理窟と

高い矜持とあわただしい恋との

渦巻き返す都会人の生活が

赤倉の野の曲線と同じ法則に

支配されているということに

わたしは静かに神の神秘を感ずる

春寒の膝にしむ四月からの地下室の実験

疲労れたまなこに扉をあけると

外には星が燦めいて居る

愕いて家路につく大学裏の暗い道で

上野の汽笛を遠くきく時

脊の筋肉が汗ばんで軽い熱感を覚える

あれから二月

恐しい程弱り切った身と心

それをわたしはつくづくと思い見る

大いなる都会は大いなる孤独

人々はいずこにゆくか

わたしも亦どうして

焦燥の思いに身を削るのか

なぜもっと早く赤倉の野の闊さを見て

茅の生えた黒土の香をかがなかったのだろう

朝まだきに湯へゆくと

外のひややかさに硝子がくもって

立ち籠めた湯気の中に

牛乳色の朝陽がさす

今朝はまだ誰も来ないと見えて

唯一人の広い浴場の

人造石が白く乾いて

あふれる湯の脈が一条

小高くふくらみながらその上を流れている

薄青く透徹な

湯の中に四肢をのばして