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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 頁

青空文庫

八代様のことを、吉さん吉さんという。

相手が相手ですから、愚楽はだまって、ニコニコ笑っていますが、ほかでこんなことを言って、もしお役人衆の耳にでもはいろうものなら、首がいくつあったって足りません。

ケロリとして、泰軒はつづける。

「ま、よく心を洗うように、泰軒がよろしくと言うておったと、吉さんにつたえてくれい」

「は」

と愚楽老人は、くすぐったそうな笑顔。

「承知いたしました。おつたえいたしますが。泰軒大人、いくら心を洗うても、何か気になることがあっては、そのこころの洗濯が洗濯になりますまい。このごろ上様におかせられては、あの柳生の壺騒ぎを、ひどくお気にかけておらるるでのう」

それを聞きながして、泰軒は大岡さまへ、

「使いに来たのは、大作か」

「うむ。伊吹をやった。例によって、文を投げこんでこいと言うてな」

伊吹大作……この人は、越前守手付きの用人中、一ばん信任のあつかった人だ。あの天一坊事件や、雲霧仁左衛門事件で大活躍をした方で、まア、腕っこきの警部さんといったところ。

「投げこむが早いか、ドンドンと戸をたたいて、トットと逃げよった。出てみたら、もう影も形も見えん。