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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

それから?」

金砂子の襖の前で、腕組をして、微笑しているのは、斉興の側役伊集院伊織である。その前に、膝を正して、小声で、流行唄を唄っているのは、岡田小藤次であった。

意気は本所、仇は両国

うかりうかりと、ひやかせば

ここは名高き、御蔵前

一足、渡しに、のりおくれ

夜鷹の舟と、気がつかず

危さ、恐さ、気味悪さ

小藤次は、眼を閉じ、脣を曲げて、一くさり唄い終ると

「ざっと、こんなもので」

扇を抜いて、忙がしく、風を入れた。

「世間の諸式が悪いというに、唄だけはよく流行るのう」

将曹が、柱から、身体を起して

「ツンテレ、ツンテレ――か、のう。ツンテレ、ツンテレ、京でえ、辻君――」

「トン、シャン」

小藤次が、扇で、膝を叩いた。

「申し上げます」

廊下から、声がした。

「大阪で、惣嫁」

「テレ、ツテツテ、ツテテンシャン」

「申し上げます」

将曹が、扇で、ぽんと膝を叩いて

「えへん――江戸で、夜!」

「申し上げます」

伊集院が、立って行って

「何んじゃ」

「名越左源太、仙波八郎太殿御両人、内密の用にて――」

「待て」

「テレトン、テレトン」

「御家老」

将曹は、細目を開いて

「夕化粧、ツンシャン――何んじゃな」