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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
名越は、大きい声で、一息に、ここまで喋ると、将曹が、真赤になったかと思うと
「黙れっ、黙れっ」
と、叫んだ。
「無礼なっ。何を、つべこべ、講釈を披げるか? かようの、あやふやな人形を、証拠品などと、大切そうに――」
「奇怪なっ、この人形が、あやふやとは?――何が故に、あやふやか? 高の知れた泥人形ゆえに、あやふやと申されるのか? 牧仲太郎でも召捕えて、白状させれば、あやふやでないと、仰せられるのか? 取調べもなされずと、あやふやと断じて、裁許掛の手へも、御廻しにならぬとすれば、御貴殿も、同じ穴の、むじなと見てよろしゅうござるか?」
「何?」
「仙波、直々、裁許掛へ願い出ることに致そう」
名越が、赤い顔をして、仙波へ、振向いた時、七八人の、静かな足音が、広書院の方に近づいて、障子の開く音がした。
「持って戻れっ」
将曹は、脣と、頬とを痙攣らせながら、人形と、箱とを、名越の前へ投げ出した。がちゃんと音がして――人形の片手がもげた。仙波が
「何をなさるっ」
と、叫んだ。
「何?」
将曹は、こういって、仙波を睨みつけながら、立上った。八郎太は、頬をぴくぴくさせ、拳を顫わせていた。