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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「仙波と申します者が、お宅に――」

男達が、ざわめいて、二人、同時に立上った。一人は、一人を、手で押して

「ええ? お出でなさいまし。至って、おとなしいのが揃っていやすから、ずっと」

「あの、仙波と申す若い侍が」

「師匠っ。さっきの方は?」

富士春が立上って、小走りに出て来て

「貴女様は」

「仙波の妹でございます。先程、益満様を尋ねて、こちらへ参りましたが、もしか、まだ――」

富士春は、黙って、深雪に見とれていた。

「まあ」

暫く顔を見てから、富士春が

「お妹様で――まあ」

「お宅へ伺いましてから、何処へ参りましたか、御心当りでも、ございましょうなら――」

泥溝板が、ことこと鳴って

「猫、鳶に、河童の屁か」

大声で、怒鳴りながら、庄吉が

「今日は」

と、格子口から叫んだ。そして、深雪を見ると、身体を避けて

「御免なすって」

おとなしい口をきいて、御辞儀をした。

「珍しい。手は直ったかえ」

「人形の首を、飯粒でくっつけるようにゃあ行かねえや」

庄吉が、深雪を盗み見して、その横を、そっと上って行った。

「さあ、手前共から、お出ましになって、何処へいらっしゃいましたか」

と、富士春が云った時