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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
南玉は、娘の仮声をつかった。そして、常公に、しなだれかかった。
「うわっ、おいてけ堀の化物だ」
と、常公は、身体を反した。
「今晩あ――やあ、これはこれは」
庄吉が、暗い土間から、奥を覗き込んだ。そして
「若旦那、今晩は」
と、云って上って来た。小藤次は、煙管を仕舞って
「とにかく、奥役に聞いて、奉公に上れるか、上れんか、なあ、それから先にして、俺あ、もう一度来るから、深雪さんも、よく考えておいてくんな。そりゃあ、無理をすりゃあ、邸の中でも――出来ねえこたあねえが、窮屈だからのう、邸勤めってのは」
「話あ、きまりましたかえ」
と、庄吉が、小藤次の顔を見た。
「庄公も、一つ骨を折っといてくれ。なかなか、利口なお嬢さんだ。じゃあ、師匠、又来らあ。お邪魔したのう」
「手前も、今夜、ゆっくり、口説いてみましょう」
「師匠の口説くなあ、講釈同然、拙いだろうの」
と、いいつつ、深雪に挨拶して立上った。常公も、庄吉も、南玉も、上り口まで見送って来た。深雪は、まだ短刀を握りしめて俯向いていた。
「お嬢さん――邸奉公なさるって――そりゃあ、一体、貴女の望みか、それとも、この南玉爺の」