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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
番頭は、帳場の中で、火鉢を抱いたままで答えた。
「そうか」
「お連衆でございますか」
「いいや」
益満は、それだけ聞いて、表へ出た。
「ちょっ、狼が出るぞ」
と、番頭が、呟いた。益満は、その隣りの表から
「女連れ二人が泊っておらんか」
「いいえ」
「十八九の美しいのと、四十がらみの」
「いいえ、お泊りじゃござりません」
女中は、じろじろと、益満を眺め廻していた。
(時刻から申せば、二人は、もうこの辺へ着かなくてはならんのに――途中で、悪雲助共に逢うたか、討手の奴等に手でも負わされたか――今夜小太に逢えぬとすれば、せめて、二人に逢いたいが――)
「旦那、お泊りじゃござんせんか」
「少し、尋ね人があって――」
益満は、そう答えて、街道へ出た。そして、すっかり暗くなった湖畔を、提灯も無く、歩き出した。角の茶店の仕舞いかけているところを折れて、急坂にかかろうとすると、提灯の灯が見えた。
(あれかも知れん)
と、足を早めて、提灯を見ると、それは駕屋のものでなく、定紋入りの提灯であった。益満は、素早く杉木立の中へ入った。人声が近づいた。提灯のほのかな灯でみると、それは、大久保家中の人々らしく