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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

一人が親子を案内して来ると、女中達は、手をとめ、足をとめて、二人を眺めた。二人は丁寧に御辞儀しながら、片隅へ坐って、俯向いていた。女中達は、すぐ、お互に、二人のことを囁き合った。そして、出て行ったり、道具の手入をはじめたりした。

(御家老は、二人の――いいや、夫の心の底まで、見抜いていらっしゃるかも知れない。島津の家を助けた方だから、そのくらいは、御発明かもしれぬ)

七瀬も、綱手もそういったことを考えて、自分の身の破滅を空想するくらいに、怖れていた。そして

(いいや、まさか――)

と、打ち消してもみたが、到底、自分達女の手には及ばぬ人のように思えた。だが

「町人へ嫁入りせんか」

と、いう言葉は、調所が、本当に、親切からいったものだとは、思えた。そして、その時の調所の眼、言葉つきを考え出すと、二人は安心してもいいようにも感じた。

「母様――妾――お嫁入り致しましょうか」

綱手が、低くいった。

「ええ」

七瀬が、眼を上げると、綱手は、俯向いたままであった。

「御家老様の仰せに従わぬと――」

「それもあるが――嫁入りして仕舞うては」

「でも――あの御様子では、油断も、隙も」