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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
牧は、其処、此処を歩き廻ってから、斎木と貴島とを呼んで
「縄を張ってくれ」
と、草の中へ線を引いて指図した。二人が用意の杭と、縄とを包から取出すと、他の人々が杭を四方へ打ち込み、縄を引いて、七間四方の区画を作った。牧は、その真中へ、自分で、杭を打ち、縄を三重に張って、三角の護摩壇を形造った。そして、中の草を焼き、塩を撒き、香を注いで、土を浄めてから、跪いて、諸天に祈った。斎木も、貴島も同じように祈ったが、他の人々は、何うしていいか判らないので、その祈りを眺めたり、景色を見廻したりして、寒さに震えていた。牧が、祈りを終って立上った。
「余人を、一人たりとも上げないように――人数を三段に配置して、二人は根本中堂の上に、四人は中堂と此処の途中に、その他の人は、此処にいて、万一のために、四方を戒めていてもらいたい。寒かろうが、酒は禁断」
牧の、いつも、人を圧倒するような気魄、それは、剣客が、剣をもって立つと、すぐ対手の感じる、人を圧迫するような気魄であるが――牧は、対座している間にでも、その眼から、その身体から、何か人を圧迫するものが放射されていた。
「誰々が下へ、誰々が上へ」