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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「――喜んでいたぞ。この疵を受けた上は、牧を斬ること思いもよらぬ」
「父上、六人斬りました。残りは二人か、三人」
「さ、それは判っておるが、脚の自由が利かんでは覚束ない。お前が、二人前働いてくれ。わしは、それを見届けて、腹をしよう」
「父上、手前一人で参りましょう。ここに、暫くお待ち下されますよう」
「小太、わしを武士らしく死なさぬと申すのか。昨日も、今日も、犬死するな、と、あれまでに申したのが、判らぬか、わしを犬死させるのか」
「胆に銘じておりますが、父上が、此処で、切腹なされても、矢張り犬死では――」
「思慮の無いことを申すな。これだけの人数を斬って、誰が、その下手人になる? お前と、わしと二人が、下手人になって、斬罪に処せられて何んになる。わしが、ここで、腹を切って、下手人となれば、お前は助かる――母もある。妹も多い。又、お前は、わしの志を継いで、御家を安泰にし、又、仙波の家も継いで行かねばならぬ」
八郎太は、こう云って、刀を杖に、立上りかけてよろめいた。小太郎が、支えて、同じように立った。
「それ程の理を弁えぬ齢でもあるまい」
小太郎は、父の慈愛と、父の武士気質と、父の意気とに、顫えていた。