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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
老女は、雑用婦のする務である廊下の雑巾がけを深雪に命じ、それが済むと、厠の掃除までさせた。
だが、そうして、いじめられている深雪の痛々しさ、雑用女の仕事までさせる老女中の横暴を見ると、若い女の中には、深雪へ同情する者が出来てきた。深雪が、部屋の隅で、小さくなっていると、側へ来て、小声で
「暫く、辛抱なさいませ」
と、慰めてくれた。それは、当の無い、漠然とした、頼りない言葉であったが、深雪にとっては、この上ない力になった。
食事時には、一番あとから食べかけて、一番早く終らなければならなかったし、午後の暇な時には、古参が、笑い話をしていても、その人々の着物をつくろったり、鏡を拭いたりしなければならなかった。深雪は
(いつになったら、お由羅へ近づいたり、秘密のところへ近寄ったり出来るかしら)
と、思った。だが、そう思いながら、鏡台を掃除していると
「今夜から又、奥の御祈祷が始まります」
と、いっている声が聞えた。
(祈祷――調伏)
深雪の身体中が熱く燃えた。
(今夜から)
深雪は、案内された時に見たお由羅の居間を考えた。
(あの中で――)
拭く手を止めて、祈祷の場へ、忍び込んで行く自分を想像した。