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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「村野――少々汗臭いぞ」
と、三人の前へ抛げ出した。村野は、押頂いた。斉彬は、戻って、すぐ机の前で、何か書き始めた。三人は、同志の前で、斉彬のえらさを、何う説明したらいいかを考えながら、薄暗い廊下を退って来た。
「わしらとは、眼のつけどころが、ちがうのう」
「ただ、頭が下るだけでござりまするな。天下の主たるべき方は、この君を置いて外にあるまい」
「そう。志ある者は、悉くそう考えている。京師でちらちら聞いた。この君を擁立して、幕府を倒そうという考えも――成る程――世間からも、そう見えるかのう」
三人は、家中の陰謀の企てなど、すっかり忘れて、明るい気持で、退って来た。
斉興は、土へ紙を貼って蒔絵した、小さい手焙に手をかざし、脚は、友禅羽二重の蒲団を被せた炬燵へ入れて、寝そべっていた。
お由羅は、紫綸子の被布を着たまま、その向い側へ膝を入れて、斉興の腓を揉んでいた。斉興の前には、用人と、将曹とが、帳面と、算盤とを置いて坐っていた。
「その五十両は、こいつが、芝居へ行った勘定じゃ」
斉興は、首を延して
「のう」
と、由羅を見た。
「芝翫の時に、妾が頂いて参りました」