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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「調所は?」

「矢張り、御勝手方御調べのため、近々に、御江戸へ」

「そうか――わしは、二三日、こうしておって、すぐ江戸へ立とう。益満から、便りでもあったか」

「いいえ」

「あれも、この辺へ参っている筈だが――」

「益満様が?」

綱手は、こういう時に、益満に逢えたなら、と思った。

「疵は、皆浅手じゃで、心配することは無い」

「腹の疵も、少し痛むくらい――」

と、小太郎は笑った。

「自分で斬ったのが、一番、深手じゃとは、おかしい、あははは」

綱手は、二人の話によって、小太郎が、自分で腹を切ったと判ったが、それに対して、口を利くことさえできなくなっていた。月丸のことで、頭の中に熱い風が吹きまくっていた。

調所の死

斉興は、調所が、襖のところへ平伏したのを見ると

「何うじゃったな」

と、声をかけた。調所は、それに答えないで、静かな足取りで、斉興の前へ来て

「御人払いを――」

その眼の中にも、言葉の中にも、いつもの調所に無かったものが感じられた。

「人払いか」

と、斉興は、軽い不安を感じながら

「皆、退れっ、遠慮致せ」

と、手を振った。近侍達は、一人一人、礼をして、作法正しく、次の間へ立って行ってしまった。