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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「本当に」

と、いった時、次の間の襖の外から

「島津石見様、火急の御用にて、拝謁、願い出られましてござりまする」

と、近習がいった。

「又か――火急の用とは、何んじゃ――よい。通せ」

斉興は、不機嫌に、こういって、火鉢の上へ丸くかがみこんでしまった。

「何んじゃ、火急の用とは?」

斉興は、緋羅紗のかかった、朱塗の脇息へ凭れて、堆朱の手焙へ、手をかざしていた。床の間には、銀製の、西洋人形の立っている置時計があったし、掛軸は、重豪公の横文字の茶掛けであった。

お由羅は、緋羅紗の褥の上へ坐っていたし、その側の、硝子の鏡、モザイックの手函、硝子の瓶――そうした調度類は、悉く舶来品であった。

「はい」

島津石見は、それだけ答えて、静かに腕組をした。お由羅は、江戸からの手紙を巻き納めて、斉興の方へ押しやった。

「用事は?」

「例の――秋水一揮党の輩が、赤山靱負殿を大将として、何か、よりより寄っては、密議を致しておりましたが、殿が、御帰国遊ばされて以来、急に、会合が劇しくなりまして、何か企んでおります模様でござりますで、手をつくして、調べましたところ――」

石見は、俯向いて、暫く、言葉を切ってから、斉興を、じっと見て