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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「川北は、参ったか」
と、平が聞いた。
「只今、お上りなされました」
平は、黙って、士の開けた襖の中へ入って行った。そこにも、一人の士が、坐っていた。そして、次の間への襖を開けた。二十畳の部屋に、行燈が一つあるだけで、天井も、床の間も、薄暗かった。その、広い部屋の、敷居のところ、隅のところに、裁許掛、川北孫左衛門が、坐っていた。膝の前に、座蒲団と、茶とが、置いてあった。
「遅いのに、呼立てた」
と、云って、平は、褥へ坐ると
「はっ」
侍女が二人、燭台を二つ、運んで来た。
「大事が、起ってのう。もそっと――ずっと、こっちへ、内々に話をしたいから――」
と、云って、侍女に
「それを、ここへ」
と、蒲団を指した。
「予て――」
平は、こう一言云って、手焙の火を、いじりながら
「早く行け」
と、女に云った。
「家中に、紛擾が起きている」
川北が、頷いた。
「それが、不届と申そうか、言語道断な振舞を致しおって、将曹の邸へ、斬込むの、豊後の邸を、大砲で、ぶっ払うのと、この上もない、上を軽んじたる致し方で、老公も、大の御立腹じゃ。それで、只今、御相談申し上げて、その首謀者の処分を、伺って来たが」