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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
こう太くなっては、振り廻せぬ――」
一人ぼっちになった南玉は、薄暗くなってくる部屋の中で、大声で、怒鳴り立てていた。綱手が
「南玉さん?」
と、益満を見て、微笑むと、深雪は、袖を口へ当てて、笑いこけた。
「はははは、この盆が越せるやら、越せぬやら」
益満は、笑って
「時に、七瀬殿、某と、小太との計が、うまく行く、行かぬにせよ、大阪表へ行って、調所を探る気はござりませぬか」
「さあ、話に――よっては――」
七瀬は、八郎太の顔を見た。八郎太は、黙って、庭の方を眺めていた。廊下へ、灯影がさして、女中が、燭台を持って来た。深雪が振袖を翻して、取りに立った。
「のう、綱手殿」
「ええ?」
綱手は、周章てて、少し、耳朶を赤くしながら、ちらっと、益満を見て、すぐに眼を伏せた。
「母上と同行して、大役を一つ買われぬかのう」
「大役? どういう?」
「操を捨てる――」
益満は、強い口調で云った。綱手は、真赤になった。七瀬が
「それは?」
「場合によって、調所の妾ともなる。又、時によって、牧の倅とも通じる」
「益満――」
と、八郎太が、眉を歪めた。益満は、平気であった。
「夫の為に、捨てるものなら、家の為に捨てても宜しい。