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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「何をっ」

と、叫んだ――そして、その瞬間、四人は、一塊になって、よろよろと、二三尺よろめくと、転んでしまった。広岡は、上からも、下からも、抱き締められて、顔も、身体も見えなかった。

(広岡を助けて逃してやらなくては)

小太郎が、そう思って、一足踏み出した時、多勢の叫び声と、足音とが、聞えて来た。

(見つかってはいけない。犬死だ)

と、思った。素早く、編笠を拾い上げて、かぶろうとすると、人々の身体の下、脚の間から、広岡の、乱れた髪、歪んだ顔が見えた。広岡は、ちらっと、小太郎を見て

「卑怯者っ」

と、叫んだ。

「いいや――」

と、小太郎も、叫んだが、すぐ、堂の後方へ走って入った。

「卑怯者っ、卑法者っ」

と、つづけざまに、絶叫した。

と、同時に、一人の侍が

「何か、縛るもの――何をっ、何をっ」

と、叫んでいるのが、聞えた。

(捕えられた)

小太郎は、そう思いながら、堂の裏の林の中へ、走り込んでいた。

「師匠、一寸、顔を貸してもらいたいが」

大家の声が、入口でした。小太郎と、深雪と、庄吉と、四人で、話をしていた南玉が

「よいしょ、只今」

と、立上って、入口の格子戸の外に立っている大家へ