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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「これは、何んのために?」

西郷は、二人の士の側へ立った。二人は、上りきらなくて、一休みしている二人の人夫を見ながら

「死体を、獄門にかけるためじゃ」

西郷は、穴と、棺とを眺めていたが

「高崎殿だけでござりますか、それとも、余の人々も――」

「同罪の人は、同罪であろう」

人夫の休んでいるのを、じっと、睨んでいた一人が

「何をしとる」

と、叫んだ。

「へえ――余り、重いんで」

「中身は、老いぼれの死体だけではないか。なまけ者がっ」

二人の人夫は、肩を、棺へ当てた。そして、顔を、赤くして、押上げかけた。西郷は、掘った土の中へ、草履を埋めながら、ずかずかと、穴の縁へ行った。

「何をするのか」

一人の侍が、怒鳴った。

「高崎殿も、浮ばれまいから、せめて、某でも、手伝って――」

西郷は、静かに、こう答えて、人夫に

「待て」

と、云った。

「へえ、何う、致しましたら?」

「手伝ってやる」

「いえいえ、滅相もない」

「棺を、横に致せ」

西郷は、ずるずると、土と一緒に、穴の中へ入って来た。足軽が二人、穴の上へ来て

「吉之助さん、およしなされ」

西郷は、答えないで

「そちらへ、二人かかるがよい」