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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「して――その日は?」

「今夜」

「然し、余り――それは」

靱負は、じろっと、吉兵衛を見て

「死体さえ掘り起す殿ではないか。わしが、今まで、こうしているのさえ、忌々しかろ」

「いささか、手前、腑に落ちませぬが――」

「何が?」

「追っつけ、斉彬公の御代になりますが、公の御代になれば、当然、この処分は、御取消に、相成りましょう。一旦の、御立腹にて、早忽と、腹をなさることは――」

「皆、そういうが、お前もか。斉彬の代になるのを待つつもりで、あれ見よ、赤山は、未だ生延びておる、と、後ろ指を指されるのが、嬉しいか」

「いや、決して左様な――」

「恥を忍んで、斉彬のために尽せ、というのであろう」

「はい」

「斉彬の代に、近々なるときまっておれば、それでよいではないか。そのためにわしが企てたことだ。後のことは斉彬が、何んとかするであろう――倅は、家にいるか」

「はい」

「呼べ」

靱負は、そういってから、用人に

「この形見分けは、吉兵衛から、それぞれに届けさせい」

と、いった。

吉之助は、両手をついたまま、いつまで経っても、顔を上げなかった。

「お前を、見込んで、頼んでおきたいことがある」