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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
日本のために、切に働いてもらいたい」
斉彬は、そう云って、軽く頭を下げ、手を膝に置いた。
「恐れ入ります。いろいろの御高説、何れ程、勉強になりましたか判りませぬ。お説に従い、身命を賭して、努力仕ります」
幕命を受けて、海軍のこと、造船のこと、国防のことを聞きに来た勝安房は、斉彬の熱誠と、知識とに、身体を固くして顫えながら、今の日本の危機を感じ、自分の責任の重さを感じ、それから、斉彬の存在に安心して、心の底からの、畏敬の、挨拶をした。
庭の松の木越しに、品川の海が見えていた。薩摩の旗印を立てた船が、幾艘も、もやっているのを、主客二人が、暫く、眺めているうちに、帆柱へ、旗が、するすると、閃きながら登りかけた。白地に、日の丸の旗印であった。帆先で、翻ると、それは鮮かに――単純ではあるが、単純ゆえに、他の船印よりも、目につくし、単純なものの力と、美しさとが、感じられた。
「あれは? あの船印は?」
と、安房が聞いた。
「日の本を象ったもので、わしが、考案したが、如何であろうかな。真中の朱は、太陽のつもりだが、いろいろと考えた末、物は、簡単なのがええと思うて、あれにした」