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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
勝は、だんだん頭を下げて行った。斉彬は海の方を眺めている。
「斉彬様、いよいよ御世継のことと、御内定に、相成りました由、只今、御家老御用人より、お知らせが、参りましてござります」
久光の用人が、いった。久光は、脇息から、手を放して、火鉢の縁を掴んだ。そして、大きい声で
「ふむ」
と、いった。
「父上が、隠居届を出されたのか?」
「いいえ、福岡、宇和島、南部の三公から、御願いがござりまして、閣老において、御内諾とのことにござります」
久光は、じっと、用人の顔を、見ていたが
「それでは、父が、厭じゃと申した時に、何うもならんではないか?」
「勿論、左様でございます。閣老とても、内政にまで――」
「では、決定したようでも、何う変るか知れんではないか」
「多分、御国許の今度のことを口実に――」
「左様な、馬鹿な。左様のことをすれば、いよいよ父を怒らせるだけではないか。隠居したくとも、せんと云い出しかねぬ父ではないか」
「はい、それなら、又、一段の儀でござります」
「何が、一段じゃ、たわけたことを申すな。父を、世間から、後ろ指をささせて、一段の儀か」
「お家のためには」
「何が、お家のため? あれだけの士を殺して、何が御家のためじゃ」