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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「まあ、御奉行様が、左様なことを――」

「奉行も、老中も――益満の申す如く、徳川の綱紀は、乱れて来ているらしい」

「妾――お兄様、幾度死のうかと、決心しましたか知れません、本当に――」

深雪は、こういうと、袖を目へ当てた。

「南玉に、庄吉は、相変らず、来ておるかの?」

「はい、いろいろと、骨を折ってくれましたが――」

と、いった時、ことこと走る音が、近づいて来た。

「庄吉でござりましょう」

「走って参ったの」

いい終るか、終らぬかに、格子戸を開けて

「本当だっ――若旦那っ」

庄吉が、敷居に躓きながら、駈け込んで来た。

「今、町内の奴が、確かに、小太郎さんだと知らせに来てくれましてね。横っ飛びにすっとんで来たが――若旦那」

と、いって、片手で、何かを拝んで

「死んだ大旦那様の御加護だ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

「心配かけたの」

「自分の災難よりも辛いや、見ちゃおれませんでしたよ。一時は、こんなに、眼を泣きはらして――御覧なさい、この、痩せ方を」

庄吉は、深雪を見てから、小太郎の方を向いて

「ところで、一体、奉行の野郎、何んてことをしましたのかい」

と、顔をのぞき込んだ。