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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
そして草を揺がして、陣笠が、肩が――和田が、小走りに戻って来た。
二人が、小径から覗くと、背の着物だけが少し見えていた。近づくと、虫が、飛び立った。死体は草の間にうつ伏せになって、木の間からの陽光が斑に当っていた。
着物が肩から背へかけて切裂かれて、疵口が、惨たらしく、赤黒い口を開けていた。肉が、左右へ縮んでしまって、肩の骨が白く見えていた。着物も、頸も、下の草も、赤黒く染まって、疵口には虻が止まって動かなかった。
「犬に、鉄砲は?」
玄白斎は、髻と、頤とを掴んで、猟師の顔を検めてから、立上って、和田にいった。
「径から、ここへ逃げ込んだのだから――」
和田は、径の方を見て、二三歩行くと
「この辺に――」
と、呟いて、左右の草叢を、杖で、掻き分けた。
玄白斎は、杖の先で、着物を押し拡げ、疵口を眺めて、血糊を杖の先につけていた。和田が
「見つかりました」
と、径に近い草の中から、こっちを見た。
「血が、十分に凝固っていぬところを見ると、斬って間も無いが――一刀で、往生しとる。余程の手利きらしい」
玄白斎は、独り言のように、和田を見ながら呟いて、和田が
「下手人は、未だ遠くへ走っておりますまい、探しましょうかの」