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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
そんなら、この手は、何うだ」
南玉は、深雪の前に、大手を拡げた。
「何を為されます」
「通せん坊、通せんぼ」
南玉は、両手を拡げて、足踏しながら、深雪の行方をふさいだ。
「人様が怪しみます」
深雪は、南玉の手を、押除けて、歩き出した。
「困ったなあ、深雪さん。折角の、益満さんの厚意を無にして――」
深雪は、もう、答えなかった。南玉は、もし、手を出して止めたなら、きっと、深雪は怒るにちがいない、と思った。そして、街を眺めて、駕の提灯が二つ、走って来ないかしらと、思った。だが、街は、暗いだけであった。
「ああっ」
南玉が、叫んで倒れた。深雪は、振向いただけであった。
「生爪剥がした。あ、痛っ、痛、たっ」
深雪は、ぐんぐん歩いていた。
「これも利かねえか」
南玉は、跳ね起きて走り出した。
小藤次の家の前に立った深雪は、戸を叩こうとして、手をとめた。何かしら、汚い物へ触れるような気がしたし、叩くということが、自分の操を破るのと、同じような気持がした。だが、それは、ほんの瞬間だけで、すぐ叩いた。返事が無かった。
「今晩は」
三度目は、物音がして
「誰だい」
「今晩は」
足音が近づいて