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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
初めて左手を使うということに、不安があった。だが
(俺が、仇に使おうって金じゃねえ。難儀していなさる、お二人を救おうって金だ。なあ、観音さん、阿弥陀さん。御利益を垂れんと、眼が潰れるぜ」
とんと、軽く、ぶっつかっておいて――首からかかっている紐を切っておいて、懐中物を抜く――それは、左右の手を使っても、困難な仕事であったが、庄吉は
(逃げられさえすりゃいいんだ)
と、すぐ、追われるのを、覚悟していた。そして、俯向いて
当節、世間で、恐いもの――
と、首を振りながら、右肩を上げて、商人の正面から、突っかかろうとした時、商人が
「ああっ、もしっ」
と、叫んだ。庄吉が、眼を上げると、吉公の後姿が、行きすぎようとしていて、商人が、それへ、手を出して、追い縋ろうとしていた。庄吉は
(吉だっ)
と、思った瞬間
(俺の仕事の邪魔を――そうじゃねえ、吉め、此奴を、俺がつけていると知って、俺の代りをしてくれやがったのだろう)
と、判断した。
「もしっ」
商人が、顔を、少し、蒼白めさせて、そう吉に呼んだ時、庄吉は、商人に、どんと、ぶっつかっていた。
「おう、危えっ」
庄吉は、よろめいて、同じように、よろめいている商人に